第33章

夕食の前、岩崎晴翔は大島莉理を書斎へ呼びつけた。ふたりきりで一時間以上。いったい何を話していたのか、誰にも分からない。

ただ、書斎から出てきた大島莉理は、どこか上の空だった。

心配になった佐伯清司が、そっと声をかける。

「先生、先輩にきついこと言ってませんよね」

大島莉理は首を振り、壁に背を預けた。

「先生、私に自分の後を継いでほしいって」

「いい話じゃないですか」

「……私に務まると思う?」

佐伯清司の笑みが、わずかに止まった。すぐに気づく。

「先輩、自信……なくしてますね」

大島莉理は答えなかった。

――なくしている。確かに。

「半年前、研究を手放したときは……自...

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